説教要旨 エレミヤ書31章10−14節
エフェソ書4章11−16節
2026.2.8
「向キリストに向かって」
今日の説教の結論は、4・15「〔わたしたちは〕むしろ、愛に根差して、真理を語り、あらゆる面で、頭であるキリストに向かって成長していきます。」
1.この個所は、キリストの救いだけでなく、その救いがその後どのように展開されていったか。それを語っている。キリスト自身は後の教会の長老とか執事について直接語ったことはない。しかし、キリストは教会の最も大事な御言葉を語る人を立てたことを明らかにしている。それは今日読んだ一番初めの言葉4・11にある。「そしてある人を使徒、ある人を預言者、ある人を福音宣教者、ある人を牧者、教師とされたのです。」このところの口語訳聖書は、「そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者として・・お立てになった」と訳している。ここに明確に主語が訳されている。原文でもここには、主語が書いてある。使徒、預言者、伝道者などの職務に携わる人を「立てた」のは「彼」であり、彼とはその前の10節「もろもろの天よりも高く昇られた方」を指す。すなわち、復活し、昇天して、当時考えられていた幾層にも重ねられていた天よりも、はるかに高く昇られ、天のすべてを支配下に治められた、すべを満たされたキリスト、その御方がこの地上の教会の福音に仕える者たちを口語訳は「立てた」と訳している。しかし元の言葉は「与えた」となっている。したがって、岩波訳は「この方自らが、使徒を、預言者を、福音宣教者を、牧者と教師を与えた」と訳している。最近の聖書協会共同訳も「ある人を使徒、ある人を預言者・・ある人を牧者、教師としてお与えになりました。」とある。つまり、甦り天に昇られたキリスト御自身が、地上のキリストの群れに、礼拝の群れに、使徒、預言者、福音宣教者、牧者、教師を与えた、と聖書は書いている。
2.どういうことだろうか。旧約聖書に預言者エレミヤの召命の記事がある。エレミヤ書1・5「わたしはあなたを母の胎内に造る前から、あなたを知っていた。母の胎から生まれる前に、わたしはあなたを聖別し、諸国民の預言者として立てた」とある。神自らがイスラエルの民が神の言葉を聞くようにと、イスラエルにエレミヤを与えた。こうも言っている。「わたしは今日、あなた〔エレミヤ〕をこの国全土に向けて、堅固な町とし、鉄の柱、青銅の城壁として、ユダの王やその高官たち、その祭司や国の民に立ち向かわせる。彼らはあなたに戦いを挑むが勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、救い出すと主は言われた。」(1・19)。神はエレミヤをイスラエルの民の中に与えて、民が神の言葉を聞くようにさせようとした。しかしエレミヤに戦いを挑む者たち、ユダの王やその高官立ち、その祭司たちや国の民たちも、エレミヤに反対してたと向かう。しかし、そのような時も、エレミヤよ、わたしはあなたを堅固な町、鉄の柱、青銅の城壁(1・18)として立ち向かわせる。彼らはあなたに戦いを挑むが勝つことはできない。わたしはあなたと共にいてあなたを救い出す(1・19)といわれた。神自らがイスラエルの民にエレミヤを与えた。それと同じように、ここで神は、天に挙げられたキリスト御自身が自ら使徒、預言者、福音宣教者、牧者、教師をキリストの教会に与えた。ここに挙げられた使徒を除く4つの職務はいずれも神の言葉を語る、宣教する、伝道する者たちであり、神への献身者と言われる。これは会衆の中から選ばれる長老、執事のような役員とは違っている。
3.その役割は何か。神の言葉が語られ、解かれ、伝道されることによって、12節「キリストの体を造り上げていく」ため、13節では「わたしたちは皆、神の子に対する信仰と知識において一つの者となり、成熟した人間、キリストの満ち溢れる豊かさになるまで成長する」ためである。信仰告白とは、一つの同じ言葉を言う。それが信仰告白である。時代を超え、場所を超えて、わたしたちはいついかなる時でも、神の言葉、聖書の御言葉を聞き、イエスをキリストと告白する、同じ信仰の告白に生きる。それが礼拝の群れ、教会の姿である。神の言葉が語られ、神の言葉が聞かれるところ、そこに教会が形成される。キリストの体が造られれていく。一人一人は、その生きた枝となっていく。あるいは頭であるキリストの生きた手足となって、キリストの御業に仕えていく一人一人となっていく。その礼拝において、御言葉を通して、わたしたちの信仰と神に対する確かな知識が与えられ、わたしたちの魂は成長し、成熟していく。
4.パウロはエフェソの教会の長老たちと分かれるために、ミレトの海岸に集まった時のことが、使徒言行録20章に書いてある。パウロは皆と一緒にひざまずいて祈った。特に、自分の顔をもう二度と見ることはあるまいと、パウロが言ったので、非常に悲しんだ。「今、神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます。この言葉は、あなたがたを造り上げ、聖なる者とされたすべての人々と共に恵みを受け継がせることができるのです。」神の恵みの言葉はわたしたちの信仰と人格を造り上げていく能力がある。詩篇119編は、神の言葉の恵みを人生のあらゆる方面から語っている。「あなたの御言葉は、わたしの道の光、わたしの歩みを照らす灯」(119・109)「若い人はどうしておのが道を、清く保つことができるでしょうか。み言葉にしたがってそれを守るしかありません。」(口語訳119・9)
5.その意味で、わたしたちを造り上げ、わたしたちを成長、成熟させていくのは神の言葉である。エフェソ3・17の御言葉を思い起こしたい。「信仰によってあなた方の心のうちにキリストを住まわせ、あなたがたを愛に根差し、愛にしっかりと立つものとしてくださるように。〔そのために〕キリストの愛の広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解し、人の知恵を超えるこの愛を知るようになり、ついには神の満ち溢れる豊かさのすべてにあずかり、それによって満たされるように。キリストの愛の@広さは、ユダヤ人のから異邦人に伝えられ、国境を超え、人種を超え、時代を超え、年齢を超えて世界中に広がっている。敵をも愛し、迫害する者のために祈っていく愛はキリストの十字架にしかない。A長さは神の忍耐の長さである。神がイスラエルの反逆を長くじっと耐え忍んで遂にイエス・キリストを遣わされた忍耐の時の長さを思わねばならない。いまも、私たちの悔い改めを待っているキリストの愛の忍耐がある。神にはなおも我々を滅ぼすことなく悔い改めを待っている忍耐の長さがある。B神の愛は高くあらゆる天を超えている。はばかることなく、天の恵みの御座に近づくことができる。C神の愛はあらゆる地下の深みにある陰府にまで到達している深さをもっている。「主は我らの咎を抑え、すべての罪を海の深みに投げ込まれた」(ミカ7・19)。「キリストを有する者は一切を有する(満たされる)」(カルヴァン)
6.15節「愛に根差して真理を語り、あらゆる面で頭であるキリストに向かって成長していく。」この世に吹いている様々な悪しきサタンの風に流されないためには、教会の頭、また世界の主イエス・キリストに信頼して、頭であるキリストの愛に深く信仰の根を張り、キリストと共に生き、キリストに向かって歩んでいく。「愛は忍耐強い、愛は情け深い、ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いら立たず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない。」(1コリント13・4−8)。
今週もこのキリストの愛に支えられて、それぞれの使命を果たしていきたい。